宅地建物取引業法の規定に基づく監督処分等に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
- 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)は、自ら売主となる乙県内に所在する中古住宅の売買の業務に関し、当該売買の契約においてその目的物の瑕疵を担保すべき責任を負わない旨の特約を付した。この場合、Aは、乙県知事から指示処分を受けることがある。
- 甲県に本店、乙県に支店を設置する宅地建物取引業者B(国土交通大臣免許)は、自ら売主となる乙県内におけるマンションの売買の業務に関し、乙県の支店において当該売買の契約を締結するに際して、代金の30%の手付金を受領した。この場合、Bは、甲県知事から著しく不当な行為をしたとして、業務停止の処分を受けることがある。
- 宅地建物取引業者C(甲県知事免許)は、乙県内に所在する土地の売買の媒介業務に関し、契約の相手方の自宅において相手を威迫し、契約締結を強要していたことが判明した。この場合、甲県知事は、情状が特に重いと判断したときは、Cの宅地建物取引業の免許を取り消さなければならない。
- 宅地建物取引業者D(国土交通大臣免許)は、甲県内に所在する事務所について、業務に関する帳簿を備えていないことが判明した。この場合、Dは、甲県知事から必要な報告を求められ、かつ、指導を受けることがある。
正解:2
最初に宅建業者に対する監督処分についてまとめておく。
免許権者 | 業務地 の知事 |
免許権者 への通知 |
業者名簿 への記載 |
公告 | |
指示処分 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 不要 |
業務停止処分 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 必要 |
免許取消処分 | ◯ | × | ― | ― | 必要 |
1 正しい
自ら売主となる宅地・建物の売買契約において、瑕疵担保責任を負わない旨の特約をすることは、宅建業法に違反する(宅地建物取引業法40条1項)。
宅建業者が宅建業法に違反した場合には、その宅建業者が業務を行った都道府県の知事は、必要な指示をすることができる(宅地建物取引業法65条3項)。
2 誤り
自ら売主となる宅地・建物の売買契約の締結に際して、代金の額の10分の2を超える額の手付を受領することは、宅建業法に違反する(宅地建物取引業法39条1項)。
この場合、その宅建業者Bの免許権者である国土交通大臣又はBが業務を行った都道府県の知事である乙県知事は、業務停止の処分をすることができる(宅地建物取引業法65条2項、4項)。
本肢の甲県知事は、免許権者でもなければ、業務地の知事でもない。したがって、甲県知事が業務停止処分を行うことはできない。
3 正しい
宅建業者等は、宅建業に係る契約を締結させ、又は宅建業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため相手方等を威迫してはならない(宅地建物取引業法47条の2第2項)。
これに違反した場合、免許権者または業務地の知事は、業務停止処分をすることができる(宅地建物取引業法65条2項2号、4項2号)。
さらに、情状が特に重い場合には、免許権者(甲県知事)は、免許を取り消さなければならない(宅地建物取引業法66条1項9号)。
4 正しい
国土交通大臣は、宅地建物取引業を営むすべての者に対して、都道府県知事は、当該都道府県の区域内で宅地建物取引業を営む者に対して、宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要があると認めるときは、その業務について必要な報告を求め、又はその職員に事務所その他その業務を行う場所に立ち入り、帳簿、書類その他業務に関係のある物件を検査させることができる(宅地建物取引業法72条1項)。
国土交通大臣はすべての宅建業者に対して、都道府県知事は当該都道府県の区域内で宅建業を営む宅建業者に対して、宅建業の適正な運営を確保し、又は宅建業の健全な発達を図るため必要な指導、助言及び勧告をすることができる(宅地建物取引業法71条)。
宅建業者Dは、甲県内の事務所について帳簿備付義務を怠っている。したがって、甲県知事は、Dに対して報告を要求し、指導をすることができる。
※指導・助言・勧告などの行政指導を行う場合、事前に聴聞を行う必要はないし、公告されることもない。
■類似過去問(国交大臣による指導・助言・勧告)
- 平成23年問44肢1(国交大臣は、全業者に対し、指導・助言・勧告が可能:◯)
- 平成22年問44肢1(国交大臣が勧告をしたときは、免許権者への通知が必要:×)
- 平成21年問45肢3(国交大臣は、乙県知事免許の業者に対し、指導・助言・勧告が可能:◯)
- 平成12年問43肢2(国交大臣は、甲県知事免許の業者に対し指導・助言・勧告はできるが、免許を取り消すことはできない:◯)